つきよのみみず
児童書とYAと普通の小説の感想です。コメント・TB 古い記事にでも大歓迎♪ 基本的にネタバレ注意です!
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「碧空の果てに」 濱野京子

薄い本で268ページ、絞り込んだ描写でメイリンの成長と恋を描いて、楽しく読めました。濱野さん3冊目、どれも良しです。
内容(「BOOK」データベースより)
十七歳のメイリン姫は、並はずれた大力の持ち主。心配した父は早く婿をとろうとするが、自分がもっと自由に生きられる場所を求め、男のふりをして国を飛び出す。たどり着いたのは賢者の国シーハン。そこで彼女は、足が不自由だが鋭い頭脳で国を守る、美貌の青年首長ターリと出会う。「わたしがあなたの『足』になります」孤独なターリのもとで、大力をかくし従者として仕えるメイリン。やがて心を通わせた二人は、シーハンの侵略をねらう大国アインスと対決することになる。
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美しく背は高いが華奢な女の子が怪力の持ち主という非常に面白くも萌える設定なんだが、このメイリンは(作者も)この怪力を活かそうとはしないんですね。彼女の力は、怪力なんかじゃなくて、その知性と行動力にあるということなのかな。
それだけじゃなくて、子どもたちへの優しい接し方、二人の男性への自分の気持ちを見つめる様、ターリへの忠誠、政治情勢を読み解く知力、自分を律する気高い心と爽やかで凛とした態度といったメイリンのキャラクターは完璧すぎるほどに魅力的。
怪力で国一番の馬の乗り手でもあるメイリン王女は、結婚し女らしく夫を支える生き方を押し付ける父の言い分に疑問を感じ、自分の成すべきことを探しに国を飛び出す。シーハン国にたどり着いたメイリンは、そこでフェイエ議員やターリ首長に出逢い、己の人生を選んでいくのだが、いっそのことゲーム仕立てのマルチエンディング形式にすれば良かったのに。えーと、今日の妄想はそういう方向ってことで(笑)
例えば、グッドエンド-1
ユイの国の王女としてターリの妻になり、ユイ国はシーハン国と同盟を結ぶ。ターリは長くシーハン国を治め、ユイ国とともに大国アインスを退け続ける。そうだな。この場合は、女性は選挙権も得られず、以前と同じ地位に留まる。ただ、メイリンは毎日面白可笑しく暮らし、やがて、子を生し子育てに幸せを見出す。ほらね、やっぱりお父さんの言うことは聞くもんさ。
もう一つのグッドエンドは、本作のストーリーね。
ターリと結ばれながらも、形式にとらわれず結婚もせず、自由な身で世界中を飛び回る。時にターリとともに世界を旅する。女性は選挙権を得て、男と同じように生きる道が開けるようになる。
となると、バッドエンドは、こんな感じ?
世話になったフェイスに横恋慕し、妻のサザとフェイエを取り合い、ザザもロロも自分自身も深く傷つき、二人で街の外へ何もかも捨てて駆け落ちする。愛を貫いた二人に後悔はない。荒野をさ迷う彼らはやがて力尽き、来世での再会を約束するのだった。
最後まで読んで下さった方、へんな妄想に付き合わせて失礼しました。お許しを。
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